Computational Science and Engineering Division, Atomic Energy Society of Japan
  • 2020年度 部会長 光安 岳

    (株)日立製作所

     

    2020年5月現在、新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るっており、人々の生命が脅かされるとともに、経済活動が停滞し未曾有の危機にあります。このような状況下で、コロナウイルス患者の治療の当っている医療関係者や、生活必需品の流通、電力などのインフラを維持されている方々へ敬意を表します。
    収束へ向けて外出自粛等の対策が進む中で、日本原子力学会2020年春の年会が中止、本部会が主催する国際会議SNA+MC2020は幕張での開催を断念せざるを得ない状況となり、学術的交流の機会が失われることは本会にとって大きな損失であると考えます。過去のウイルスの蔓延の事例においても、人の移動の停止による隔離策がとられてきました。今回も同様の対策が取られていますが、これまでと違うのは情報通信の発達により人々のコミュニケーションがある程度維持されていることです。これにより学術的活動の一部継続が可能です。さらに「計算科学」は現実の現象を計算機上で再現するため、このような状況においても本部会員の皆様の多くの方が活動継続されていることと思います。
    コミュニケーションが制限された状況において、活動を継続することは、計算科学において、並列化により計算を高速化する方法と似ています。計算には並列に実行できる部分と逐次実行が必要な部分があり、並列で実行できる部分を増やすほど、並列化効率が高くなり、結果として全体の計算が高速化されます。逐次実行が必要な部分の多くは、並列実行された計算部分間の通信(コミュニケーション)です。常にコミュニケーションしていれば、共有できる情報量が多く、必要な情報に素早くアクセスできますが、全体の効率は低下します。そこで、コミュニケーションを最小限として全体の効率を最大化するためには、通信を最小限の情報量とすることが必要です。情報量を最少とするためには、通信する情報を取捨選択します。その結果、逐次実行時に交換される情報の重要性が高くなります。
    現在のコミュニケーションが制限された状況は、強制的に通信の情報量を絞られた状態であるため、情報の取捨選択をして重要性の高い情報に通信を絞ることによって、全体の効率を上げられます。つまり、危機的状況ではありますが、さらなる飛躍のチャンスでもあると考えております。さらに、逐次実行部分となるコミュニケーションは本会の年会・大会がその一部を担うことになりますので、本部会はコミュニケーションの場の提供や情報発信に努めていきたいと考えております。
    最後に、本部会員の皆様におかれましては、ご自身とご家族の健康第一にこの危機を乗り越えていただき、次の年会・大会という貴重なコミュニケーションの場でお会いできることを願っております。

    以上