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【報告】日本原子力学会2017年秋の大会 企画セッション
2017.10.16 コメント無し日本原子力学会2017年秋の大会
企画セッション報告:「粒子シミュレーション技術は何をもたらすのか?」
日 時:9 月13日(水) 13:00~14:30 G会 場
座 長:巽 雅洋 (原子力エンジニアリング、計算科学技術部会長)
聴講者:53名
概要
空間を格子状に分割して計算を行う格子シミュレーションとは異なり、粒子シミュレーションでは空間の中に多数の粒子を配置し、個々の粒子の位置やエネルギーなどの時間変化を計算することにより、空間内の物理量分布を決定する。このため、粒子のサイズや性質を適切に定めることにより、ミクロ(分子レベル)からマクロ(原子炉実機レベル)まで様々なスケールにおいて、粒子間の複雑な相互作用(分子間力や凝集・分解など)や相変化、化学反応などを含む現象を解析することが可能である。本企画セッションでは、様々な粒子シミュレーションの最新事例について講演を行い、将来展望などに関して議論した。
粒子法による複雑現象シミュレーション(東京大学:酒井 幹夫 氏)
ラグランジュ的手法のDiscrete Element Method(DEM)を用いた、粉体・混相流の数値シミュレーションモデル開発に関して、SDF(Sign Distance Function)を用いた複雑形状物体のモデル化などについて講演が行われた。また、Die Filling現象などを対象とした解析例が紹介され、実現象を良く再現していることが示された。
粒子法による大規模津波解析と鉄道を対象とした解析への取り組み(鉄道総研:室谷 浩平 氏)
複雑な境界条件の変化に適した計算手法である粒子法の1つであるMPS(Moving Particle Simulation)法に適した解析事例(境界面が複雑に変形し合うような解析、多数の接触判定が必要となる解析など)が示された。実際の解析への取り組みとして、市街地津波解析、着雪解析、車輪レール間の水膜の挙動解析の結果が紹介された。
第一原理原子・分子シミュレーションの現状と原子力分野での研究進展(原子力機構:町田 昌彦 氏)
第一原理計算が、原子力の研究開発において欠かすことできない物質材料の研究に対して、極めて重要な役割を果たしていることが紹介された。原子力分野における第一原理計算として、核燃料の高温物性評価、構造材料の機械的特性評価、土壌粘土鉱物に吸着した放射性セシウムの化学形態等の環境問題への適用例が示された。