Computational Science and Engineering Division, Atomic Energy Society of Japan
  • ワークショップ開催案内:原子力基盤研究「モデリング・シミュレーション技術」に関する提言

    2011.2.21 コメント無し

    当部会の協賛にて,下記のワークショップを開催いたしますので,お知らせいたします。


    原子力基盤研究「モデリング・シミュレーション技術」に関する提言

    ワークショップの目的

    原子力基盤研究は、我が国のエネルギーセキュリティーを支える一翼であることは論を待たな い。原子力発電の国際的な展開が進む中、我が国への期待も大きなものとなってきている。それ を支える原子力技術について、基盤となる研究開発の現場に関する課題を模索しつつ、これから のあり方、将来方向について産官学のそれぞれの立場を尊重しつつ、国としての方向性の枠組み のコンセンサスを形成することが必要と考えるものである。その上で、得られたものを国の「原 子力政策大綱」に反映すべく提言として取りまとめる。

    本ワークショップは、原子力基盤の中でも重要な戦略技術である、モデリング・シミュレーシ ョン技術に対して、我が国における研究課題を抽出し、その重要度・緊急度を議論することで、 5年後に向けた方向性を明らかにすることを目的としている。

    モデリング・シミュレーション技術は、原子力プラントの安全設計を担保する重要な基盤技術 である。21世紀を迎え、シミュレーションを取り巻くハードウェア・ソフトウェアの進歩は、 目覚しいものがある。新しいハードやソフトが毎日のように開発され続けている現在、世界と互 角以上に戦うためには、オリジナリティーの高いソフトウェアを開発するだけではなく、ソフト ウェアの品質保証として V&V(Verification & Validation=検証)を担保することが重要になってき ている。これには、物理モデルとそのコーディングの信頼性を保証する Verification と、シミュ レーション結果がシステムとしての挙動を正しく模擬できている事を保証する Validation がある。 原子力プラントの安全設計を担保するだけではなく、より合理的で効率の良い(競争力のある)原子 力プラントを設計・製作して売り込むためにも、その信頼性検証、妥当性確認が非常に重要とな ってきている。したがって、シミュレーション技術の V&V においては、コードそのものの信頼 性だけではなく、コードの妥当性を保証するための実験データの信頼性も重要である。

    一方で、世界各国においては、独自のシミュレーションコードを開発する機運が高まっている。 また、米国においてもコードの提供を中止する動きもある。このようなことから、他国に優位性 を持つシミュレーションコードを我が国として保持することが、世界戦略の中でも重要となって きている。さらには、上記のように、V&V に用いることができる、精度保証付詳細実験データを 知的財産として保持することも重要になってきている。このようなシミュレーションコードの開 発とその V&V、及び V&V のためのデータは、原子力産業界はもちろん、安全規制の高度化にも 不可欠である。また、これらの研究開発は、我が国の原子力技術基盤を支える人材の育成にも大 きく寄与する。したがって、モデリング・シミュレーション技術は、産官学を挙げて取り組むべ きテーマである。

    このような背景の下、5年後のあるべき姿を目指して、モデリング・シミュレーション技術に 対して、どのような基盤研究を推進していくべきかを集中的に討論し、産官学への提言として取 りまとめるためのワークショップを開催する。

    プログラム

    日時:2011年3月2日(水) 9:00-17:00
    場所:東京大学工学部11号館講堂
    主催:日本原子力学会 標準委員会
    共催(予定):日本原子力学会 熱流動部会、放射線工学部会、計算科学技術部会
    内容:
    9:00- 9:10 趣旨説明 岡本孝司(東大)
    9:10-10:00 基調講演:シミュレーション技術とV&V 越塚誠一(東大)
    10:00-12:00 軽水炉におけるシミュレーション技術の役割
    ・規制機関におけるシミュレーション技術 講演者未定(JNES)
    ・PWR設計・安全評価におけるシミュレーション技術 高橋久永(三菱)
    ・BWR設計・安全評価におけるシミュレーション技術(1) 守屋公三朗(日立GE)
    ・BWR設計・安全評価におけるシミュレーション技術(2) 講演者未定(東芝)
    12:00-13:00 昼食休憩
    13:00-13:30 基調講演:我国での海外ソフトウェアの利用と課題 田中俊一(RIST)
    13:30-15:30 シミュレーション技術の現状と課題
    ・熱流動・安全解析 岡本孝司(東大)
    ・粒子輸送解析 中村尚司(東北大)
    ・原子炉物理・炉心解析 山本章夫(名古屋大)
    ・構造解析 吉村忍(東大)
    15:30-15:45 Coffee Break
    15:45-17:00 パネルディスカッション
    -これからのシミュレーション技術の研究開発-

    17:30- 懇親会(at 山上会館)

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