部会のご案内

設立趣旨

計算科学の発達により、人工物の設計を実験に大きく頼らず、計算科学に基づき研究・設計しようという動きが近年高まっている。今年3月に稼動を始めた地球シミュレータのように、地球全体の温暖化現象などを包括的に模擬しようという研究が典型的な活動である。

一方、原子力研究の歴史では、中性子物理を中心として、実験では全てを模擬出来ない場合、数値実験により技術の進歩を図ってきたし、原子力工業界の活動でも炉心設計、燃料熱水力、安全設計、構造設計、耐震設計など多くの分野で計算工学の技術を活用してきた。しかしながら、これまでの技術活動においては、実験と解析技術が車の両輪のように結合して進歩してきたが、今後はDesign by AnalysisあるいはComputer-Aided R&D (CAR&D)という、解析技術に重心を置いた設計研究活動が中心になってきつつあると考える。

解析手法についても、従来の差分法等の枠を超えたメッシュフリー手法等いくつかの新しい手法が試みられ実用化されつつある。また計算機についても、超大型からPCレベルまでの並列機が本格的に用いられ、幅広いハード環境が整いつつある。

さらに、原子力分野の特徴として技術継承は大変重要なテーマとなりつつあり、解析の妥当性、信頼性の確保を目的としたベンチマーク解析等、解析技術自体に重点を置いた活動も必要になってきた。

このような状況下で、原子力に係わる全ての計算工学の分野の研究者が一堂に集まり、計算工学の研究をとおして交流することは、原子力が培ってきた研究技術をさらに発展させ、より広く社会貢献を行なう上で意義の深いことと考え、本部会の設立を提案する。

関連する分野として、伝熱流動、中性子物理、材料、構造、電磁気、耐震、環境、並列計算機技術、CAE、ベンチマーク活動等を想定しているが、応用数理等、関連学協会との連携も視野に入れ、さらに広範な計算工学分野にわたることも考えられる。

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