Computational Science and Engineering Division, Atomic Energy Society of Japan
  • 【報告】2014年秋の大会 計算科学技術 一般セッション

    2015.3.16 桐村 コメント無し

    日時:2014年9月8日 14:40~18:15

    場所:京都大学 吉田キャンパス H会場(工学部3号館W1)

    計算科学技術(可視化と計算科学技術)

    座長:東京大学 沖田泰良

    H08 構造解析のための協調可視化環境の開発

    (東北大) 竹島由里子

    可視化図から対象となるデータや可視化パラメータ値などを把握することは不可能であり、ユーザは個々でこれらの情報を管理しなければならないのが現状である。そこで、目的指向型可視化支援環境と統合することにより、可視化処理によって得られた画像と、対象データ、可視化処理の履歴、得られた知見などを関連付けて一括管理する、構造解析のための協調的可視化環境の構築を提案し、報告した。

    H09 環境放射線データの適応的可視化アプローチ

    (JAEA) 宮村浩子

    膨大な測定データを可視化する際には情報の相殺が生じ、重要な情報が埋もれてしまう可能性がある.そこで、微分トポロジー解析によって環境放射線量分布の大局的特徴を抽出し、その構造を保持しつつ、可視化要素を削減することでデータサイズの調整を可能とする適応的可視化アプローチを提案し、報告した。

    H10 粒子ベースボリュームレンダリングによる“京”における大規模計算データの遠隔可視化

    (JAEA) 河村拓馬

    「京」における大規模計算データの解析を目的として、粒子ベースボリュームレンダリング (Particle-based Volume Rendering, PBVR)を利用したクライアント/サーバ方式の分散可視化処理を構築した。サーバの超並列処理によって可視化処理を飛躍的に高速化したことで約1 秒/ステップの対話的可視化を実現したことを報告した。

    H11 Development of a Hybrid Particle-Mesh Method for Simulations of Multiphase Flows

    with Phase Change

    (JAEA) Xiao Xing Liu

    多相流現象を解くため、CIP/MMおよび有限体積粒子法(FVP)によるハイブリッド手法を開発し、蒸気-液体の相変態を伴う1次元Stefan問題で手法を検証した結果を報告した。

    H12 On the use of NURBS for particle transport calculations

    (福井大) W.F.G. van Rooijen

    レイトレーシングによる粒子輸送の幾何情報においてNURBSを利用する手法を提案している。予備的試験の段階ではあるが、実問題への適用可能性を有していることを報告した。

    計算科学技術(構造解析)

    座長:JAEA 西田明美

    H13 多孔板の平均的非弾性挙動を表現する等価応力に関する研究

    (東大) Yeldos Kultayev

    多孔板の設計時における解析を簡略化するため、孔の無い等価な弾性体の軸対称でのモデル化が行われることがある。非弾性域への展開のため、ESRが研究されてきていたが、物理的な意味が不明であった。そこで、ESRのパラメータからの脱却と物理的な意味付けを実現し、応力再配分メカニズムに基づいた簡略化モデルを提案し、報告した。

    H14 弾性解析に基づく円筒容器の熱ラチェットひずみ予測法の開発

    (東大) 國府田敏明

    原子炉等の高温構造物では、弾塑性変形が一方向に累積していく熱ラチェット現象によって過大変形に至る可能性があるが、現行の設計規格では熱ラチェット変形の発生の有無を判定することに主眼が置かれており、熱ラチェットひずみそのものの定量評価は行われていないのが現状である。そこで、一定内圧と板厚内の繰返し温度変化を受ける薄肉円筒容器を対象に、弾性解析に基づく熱ラチェットひずみの予測法を提案し、簡易評価できることを報告した。

    H15 MD 法を用いたBWR 炉内構造材照射硬化に及ぼす材料物性の影響に関する解明

    (東大) 沖田泰良

    積層欠陥エネルギーのみを変化させた原子間ポテンシャルを用いて、I-loopと刃状転位の相互作用過程について、分子動力学的評価を行った。BWR取替材で観察されるサイズのI-loopでは、bloopの変換が困難であり、積層欠陥エネルギーが低いほど照射硬化が低くなることを見出し、報告した

    H16 組立構造解析手法による時刻歴応答解析

    (JAEA) 中島憲宏

    大型構造物の耐震健全性を分析するための耐震信頼性試験を計算機上で実現できるように、耐震性評価用3 次元仮想震動台の開発を進めており、その中核機能のひとつとして、FIESTA(Finite Element Structural Analysis for Assembly)と呼ぶ組立構造物の構造解析コードを開発してきた。FIESTAは、原子力施設等の耐震健全性評価を行う一つの手段として、組立構造物の部品間挙動に着目した詳細解析法であり、その一部機能である時刻歴応答解析について報告した。

    計算科学技術(リスク評価と計算科学)

    座長:JAEA 中島憲宏

    H17 リスクマネジメント基盤技術としての地震リスク評価の信頼度向上に関する研究

    (6)コード開発と試解析

    (東京都市大) 村松健

    確率論的地震リスク評価(地震PRA)の信頼度向上に関する研究の一環として、モンテカルロ法を用いた地震PRA用システム信頼性解析コードを改良して事故シーケンス発生頻度の不確実さ解析を可能とするとともにモデルプラントを対象に試計算を行った。確率論的応答解析の結果を同コードで用いるための計算手順を検討し、実用的で信頼性の高い事故シーケンス評価ができる可能性のあることを報告した。

    H18 リスクマネジメント基盤技術としての地震リスク評価の信頼度向上に関する研究

    (7)建屋・機器応答評価における専門家意見の活用

    (東大) 高田毅士

    地震時の建屋・機器フラジリティ評価の一部を成す地震時応答評価において、注意すべき認識論的不確実さについて複数の専門家を活用して意見収集を行うとともに、地盤・建屋・機器系の種々の応答解析モデルを用いた感度解析結果を踏まえた地震時応答の特性、原子炉建屋の挙動評価結果ならび機器系への入力評価に関する専門知を整理し、その結果を報告した。

    H19 リスクマネジメント基盤技術としての地震リスク評価の信頼度向上に関する研究

    (8)建屋・地盤の感度検討

    (JAEA) 西田明美

    原子力施設のリスクマネジメントの基盤技術としての地震起因事象に関する確率論的リスク評価手法について、評価結果に伴う不確実さを定量化するための検討を行ってきている。地盤特性にかかわるパラメータの建屋応答への感度は比較的小さいことや建屋のモデル化が局所的な床応答に感度を有するといった結果について報告した。

    H20 リスクマネジメント基盤技術としての地震リスク評価の信頼度向上に関する研究

    (9)機器/配管系のフラジリティ評価

    (東京都市大) 古屋治

    機器のフラジリティとその不確実さを解析的に評価する手法を検討している。残留熱除去系における重要機器を選定し、三次元FEM 解析モデルおよび質点系モデルでの床応答スペクトルより、不確実さ因子の幅設定に関する情報の導出を試みた。ここでの結果だけでは単純な評価は困難であり今後も検討を継続することが報告された。

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