Computational Science and Engineering Division, Atomic Energy Society of Japan
  • 【報告】日本原子力学会2018年春の年会 企画セッション

    2018.5.20 高田 コメント無し

     

    日本原子力学会2018年春の年会

    企画セッション報告:「計算科学技術分野におけるモンテカルロ(MC)法の活用~現状と将来展望~」

    日 時:3 月26日(月) 13:00~14:30  C会 場

    座 長:巽 雅洋 (原子力エンジニアリング、計算科学技術部会長)

    聴講者:50名

    概要

    原子力分野において、モンテカルロ法(MC法)を用いた数値解析は炉心計算等において欠くことのできない重要な役割を担っている。加えて、近年では安全評価(PRAなど)において、MC法を用いた解析の利用が進んでいる。また、流体解析手法であるDSMC(Direct Simulation Monte-Carlo)法など、MC法を用いた解析の使途は多岐に渡っている。本企画セッションでは、MC法を用いた最新の数値解析研究について紹介するとともに、MC法の将来展望などに関して議論した。

     

    炉物理分野におけるモンテカルロ計算の現状と将来展望(原子力機構:長家 康展 氏)

    モンテカルロ法の黎明期から最新の炉心解析技術まで、非常に多くの研究内容についてレビューが行われ、炉心設計に適用するためには計算能力の問題が残されているが、炉内の複雑な現象(核熱カップリング、非定常現象など)を解析する技術は既に開発されていることが示された。

    モンテカルロ法を用いた動的リスク評価研究(東京大学:張 承賢 氏)

    現状の代表的な確率論的リスク評価手法(イベントツリーに基づく手法)における問題点について紹介があり、連続マルコフ過程モンテカルロ法を用いることで原子炉事故時の事象進展を動的に評価できることが述べられた。また、実際の高速炉の除熱源喪失事故を対象とした解析において、メタモデルを用いた解析時間短縮について説明があった。

    気体温度勾配により物体に誘起されるクヌッセン力のDSMC法による研究(東北大学:米村 茂 氏)

    クヌッセン数によって希薄流体の挙動がどのように変化するかについて説明があり、ボルツマン方程式の解法の1つであるDSMC法の概要が述べられた。実際に、高温壁面の上方に低温のマイクロスケール物体を配置した解析を行った結果、物体に浮上力が働くことが示された。