Computational Science and Engineering Division, Atomic Energy Society of Japan
  • 【報告】2017年春の年会 計算科学技術 一般セッション

    2017.4.11 高田 コメント無し

    日時:2017年3月27日(月) 10:00~18:00

    場所:東海大学湘南キャンパスG会場 (16号館16-207教室)

    • 計算科学技術(熱流動および原子炉燃料に関する解析と可視化)

    座長:JAEA 中島 憲宏
    1G01:数値シミュレーションによる微粒子凝集体の見かけ粘度の評価
    *鹿島 真人1、酒井 幹夫2 (1. 東大、2. 東大)

    ガラス溶融炉内部のガラススラリーは、ずり速度を増加させると見かけ粘度が減少するshear thinning の性質を持つことが報告されているが、その詳しいメカニズムは未だ解明されていなかった。本研究ではDEM-DNS 法による数値計算を行い、レオロジー特性を評価することでshear thinning の原因を考察した。

    1G02:可視化用粒子データを用いた燃料溶融シミュレーションの対話的 In-Situ可視化
    *河村 拓馬1、野田 智之1、井戸村 泰宏1 (1. JAEA)

    シミュレーションと同時に可視化を行うIn-Situ 可視化は、確実な画像生成が可能な反面、バッチ処理における対話的な可視化が困難であった。そこで、結果データを可視化用粒子データに変換しファイルベースで送受信を制御する手法を開発し、燃料溶融シミュレーションに対して対話的なIn-Situ 可視化を実現した。

    1G03:ガラス溶融炉における固体粒子堆積時の流下シミュレーション
    *高畑 和弥1、酒井 幹夫1 (1. 東大)

    ガラス溶融炉において、高レベル放射性廃液に含まれる白金族粒子が炉底部に堆積することによって流下性能が低下することが知られているが、まだ現象は解明されていなかった。本研究ではLagrange-Lagrange的手法であるDEM-MPS 法を用いて、流下における粘性の影響を評価するために数値シミュレーションを実行する。

    1G04:高速増殖炉の炉心溶融事故後冷却挙動の研究 (32) 二相系格子ボルツマン法によるジェットブレイクアップの数値解析
    *齋藤 慎平1、阿部 豊1、金子 暁子1、岩澤 譲1、小山 和也2、成合 英樹1 (1. 筑波大、2. MFBR)

    高速増殖炉の炉心溶融事故時には、ジェット状に放出された溶融燃料挙動の把握が重要となる。本報では、二相系格子ボルツマン法を用いた液中ジェットの数値解析を実施し、実験結果の再現を試みた。

    1G05:多相流体コード JUPITERにおける前処理付き省通信 CG法ソルバの開発
    *真弓 明恵1、井戸村 泰宏1、伊奈 拓哉1、山田 進1、今村 俊幸2 (1. JAEA、2. 理研 AICS)

    左前処理付き省通信CG(LP-CA-CG)法を多相流体コードJUPITERのポアソンソルバに適用し、京コンピュータにおけるストロングスケーリングを30,000 ノードまで向上した。

    1G06:深層学習と強化学習による燃料装荷パターン最適化手法の検討 (1)燃料装荷パターン情報を用いた炉心核特性の予測
    *巽 雅洋1 (1. 原子力エンジ)

    無限増倍率ベクトルを入力とした深層ニューラルネットワークを構築し、高速な炉心特性評価を実現した。予測した次ステップの無限増倍率を新たに入力とする、炉心の燃焼特性評価の可能性を示した。

    1G07:燃料増殖とMA消滅の効果を柔軟に考慮した高速炉設計の検討
    *笠原 直人1、高橋 忠男2 (1. 東大、2. FBR高等研究所)

    高速炉の特徴である燃料増殖とMA 消滅は共に中性子の活用により生じる効果であることから相互に影響する。そこで、炉心領域とブランケット領域へのMA 添加量を独立に変化させ、燃料増殖とMA 消滅への影響を調べたところ、両者の効果をある範囲で柔軟に調和できる設計が可能であることを見出した。

    • 計算科学技術(地震時の建物および構造の挙動に関する解析)

    座長:原子力エンジ 巽 雅洋
    1G08:原子力プラントの包括的安全性向上のための地震時クリフエッジ回避技術の開発建屋システムの検討
    *西田 明美1、崔 炳賢1、郭 智宏1、高田 毅士2 (1. JAEA、2. 東大)

    本研究では、原子力プラントの安全性確保のためにプラントをトータルシステムとして取り扱い、リスク概念と深層防護の考え方に基づいて様々なクリフエッジ状態を特定・定量化し、これらを回避する技術を開発することを目的としている。本稿では、建屋システムの地震応答解析において特定されるクリフエッジ状態のモデル化因子依存性を検討するため、免震機構や擁壁衝突事象の境界条件のモデル化等にかかわり検討を実施し、得られた知見を述べる。

    1G09:多様な地震波による原子力施設の地震応答解析結果におけるばらつき評価
    *崔 炳賢1、西田 明美1、郭 智宏1、村松 健1、高田 毅士2 (1. JAEA、2. 東大)

    本研究では、原子力施設の確率論的地震リスク評価の信頼性向上に資するため、原子力施設の地震時応答のばらつき評価を実施し、応答の不確実さの定量化を目的としている。本稿では、多様な入力地震動による原子力建屋の地震応答解析結果におけるばらつき評価結果について報告する。

    1G10:大型プラント等の次世代耐震解析技術に関する研究
    *郭 智宏1、西田 明美1、中島 憲宏1 (1. JAEA)

    原子力機構では、原子力施設を含む大型プラント等の耐震評価に関して、詳細かつ一体的な耐震シミュレーション技術の研究開発を行っている。本研究では、本シミュレーション手法を活用した詳細モデルを用いて従来の解析用モデルの高度化を目指し、高性能計算機を活用することを目的とする。

    1G11:アブダクションによるデータ解析
    *中島 憲宏1 (1. JAEA)

    人工物は、時間の経過とともに製造当初の状態から変化していく。多くの人工物は、外的な力を受ける状況下で使用されていくことが多く、慣性力を考慮した動的解析が重要である。しかし、動的解析は時刻歴にともなうデータが出力されるため、時刻歴ごとの3 次元解析結果データの分析と評価の効率化を図る必要がある。

    1G12:原子力施設全体規模の地震時挙動解析に向けた要素毎有限要素接触解析手法: 固着問題での検証
    *鈴木 喜雄1 (1. JAEA)

    原子力施設全体規模の地震時挙動解析に向けて実施した、要素毎有限要素接触解析手法の研究開発の成果について報告する。構造物に対し部品単位で不整合メッシュを用いてメッシュ生成した場合に、Lagrange未定乗数法とMultiple Front 法を用いて省メモリかつ並列に解析可能な手法を提案し、提案手法の実装と固着問題での検証を実施した。

    1G13:メニーコアプロセッサを用いた地盤-建物モデルに対する並列有限要素解析の性能評価
    *森田 直樹1、高橋 容之2、橋本 学1、奥田 洋司1 (1. 東大、2. 鹿島建設)

    集積回路の消費電力などの観点から、Intel Xeon Phi (Knights Landing, NKL)に代表されるメニーコアプロセッサが搭載された計算機の利用が広がっており、今後の計算機設計の主流となると考えられる。本研究では、大規模地盤-建屋モデルの並列有限要素解析に対し、NKL の並列計算性能を評価することを目的とする。

    1G14:ベイズ最適化手法を用いた動力学的破壊シミュレーションによる断層パラメータの推定
    *三橋 祐太1,2、橋本 学2、奥田 洋司2、内山 不二男1 (1. 構造計画研究所、2. 東大)

    原子力発電所の敷地内に断層変位が生じた際の施設への影響の解明が喫緊の課題となっている。本研究では2014 年に発生した神城断層地震を対象として、ベイズ最適化の手法を用いた動力学的破壊シミュレーションによる断層パラメータの推定を実施し、より精度の高い変位評価が可能となった。

    • 計算科学技術(構造の損傷・破損および材料の欠陥の解析)

    座長:JAEA 鈴木 喜雄
    1G15:斜め衝突による構造物の局部損傷評価に関する研究 その1:剛飛翔体の斜め衝突を受ける構造物の局部破壊評価に関する提案
    *太田 良巳1、西田 明美1、坪田 張二1 (1. JAEA)

    本論文では、垂直衝突に対する局部破壊評価式の既往斜め衝突実験結果への適用について検討し、得られた知見について報告する。

    1G16:斜め衝突による構造物の局部損傷評価に関する研究 その2:柔飛翔体の貫通現象の検討
    *坪田 張二1、太田 良巳1、西田 明美1 (1. JAEA)

    本稿では、柔飛翔体の斜め衝突による数値シミュレーションを様々な衝突角度および衝突速度で実施し、得られた知見について報告する。

    1G17:試験と解析による高温における局部破損メカニズムに関する検討
    *吉田 瑞城1、坂口 貴史1、窪田 穣穂1、佐藤 拓哉1、笠原 直人1 (1. 東大)

    構造不連続部において発生の可能性が指摘されている局部破損のメカニズムは未だ十分には解明されていない。本研究では、塑性条件下で提案した破壊曲面のクリープ条件への拡張法を検討した。

    1G18:MD simulations to evaluate stable configurations of vacancy-type defect clusters in Zirconium
    *Yilun Hu1, Kohei Doihara1, Sho Hayakawa1, Taira Okita2, Mitsuhiro Itakura3 (1. Univ. of Tokyo, 2. Univ. of Tokyo, 3. JAEA)

    The formation energies of vacancy aggregations containing 19-397 vacancies in zirconium are derived by molecular dynamics simulations to evaluate their stable configuration. In most cases, the formation energy of c-type dislocation loop is lower than that of a vacancy cluster, while the opposite trend is found in the smallest aggregation.

    1G19:MD法による中性子照射下結晶欠陥形成過程に及ぼす材料物性の影響に関する検討(2)
    中西 大貴2、 Yang Yingjuan2、川畑 友弥2、*沖田 泰良1、板倉 充洋3 (1. 東大、2. 東大、3. JAEA)

    面心立方金属を対象として、中性子照射下での結晶欠陥形成、及びその積層欠陥エネルギー(SFE)の影響を分子動力学法により定量化した。計算対象とした全ての温度で、欠陥集合体の形態は準静的エネルギー計算を反映しSFE によって異なる一方、欠陥形成数はSFE に依存しないことが明らかとなった。

  • 【報告】平成28年度部会賞表彰式および全体会議

    2017.4.11 高田 コメント無し

    2017年春の年会1日目である3月27日の12:00~13:00 にG会場にて,平成28年度部会賞表彰式(第14回)が執り行われ,西田部会長から受賞者に表彰状が授与されました(受賞者は過去の一覧を含めこちらに記載しています)。その後,2016年度の活動報告および2017年度の活動方針と役員紹介が行われました。(リンクや写真をクリックすると,それぞれダウンロードできます)

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  • 【報告】日本原子力学会2017年春の年会 企画セッション

    2017.4.5 桐村 コメント無し

    2017年3月27日(月) 13:00~14:30 G会場

    場所: 東海大学湘南キャンパス

    「シミュレーションの信頼性確保に関する取り組みの現状と課題」

    座長:(東大)越塚 誠一 氏

    2017企画セッション(1)

    国内外においてV&Vの重要性および必要性が広く認識され、シミュレーションの信頼性の確保に関わるガイドラインや標準を作成する動きが活発になっている。日本原子力学会は、2016年7月に「シミュレーションの信頼性に関するガイドライン:2015」(原子力学会ガイドライン)を発行した。これは、シミュレーションの信頼性の確保に関する重要性が高まる状況に鑑み,モデルV&Vに基づいて、不確かさを考慮した予測評価,品質管理を加えたモデリング&シミュレーションの方法論の考え方をまとめたものである。本セッションでは、原子力学会ガイドラインの発行に係る活動の概説と期待、そして他分野における国内外における活動の現状等について議論した。

     

    (1)シミュレーションの信頼性確保に関するガイドラインの発行

    (東芝)中田 耕太郎 氏

    日本原子力学会が2016年7月15日に発行した「シミュレーションの信頼性に関するガイドライン:2015」に関して解説が行われ、本ガイドラインが現象のモデリングに焦点を当てたシミュレーションの信頼性確保のための方法論の考え方を示しており、モデルV&Vに必要とされる要件を完備していることが示された。また、ガイドラインの講習会を実施し、シミュレーションの信頼性確保のための方法論の考え方の普及活動も進めていることが述べられた。

     2017企画セッション(2)

    (2)シミュレーションの信頼性確保に関するガイドラインへの期待

    (横国大)白鳥 正樹 氏

    日本計算工学会は、「工学シミュレーションの品質マネジメント」、「工学シミュレーションの標準手順」および事例集を発行している。原子力学会ガイドラインに関しては、原子力関連施設で生じ得る低確率・高影響の内的又は外的事象を含む特定の評価目的に即したシミュレーションの予測性能を、高い説明性、追跡可能性及び透明性をもって客観的に示すことが重要であり、そのためには、信頼性を継続的に改善するための仕組みが重要であること、特にシミュレーションの予測性能を担保するための実験の重要性について述べられた。

    2017企画セッション(3)

    (3)シミュレーションの信頼性確保に関する国内外の取り組みの現状と課題

    (JAEA)田中 正暁 氏

    原子力分野におけるシミュレーションの信頼性確保の重要性から、日本原子力学会からは「統計的安全評価の実施基準:2008」などが発行されている。海外においては、米国原子力学会、経済協力開発機構/原子力機関、国際原子力機関においてガイドラインの整備が進められている。また、米国機械学では、「原子力システムにおける熱流動挙動のシミュレーション(V&V-30)」などのガイドライン整備が進められている。国内においては、宇宙航空研究開発機構や日本土木学会応用力学委員会において、V&Vに関する活発な議論が行われている。

    2017企画セッション(4)

  • 第29回CCSEワークショップ開催報告

    2017.4.3 桐村 コメント無し

    1.会議概要

    開催日:平成29年2月14日(火)

    場所:航空会館(東京都港区新橋)701会議室

    主催:日本原子力研究開発機構・システム計算科学センター

    共催:日本原子力学会計算科学技術部会

    システム計算科学センター(CCSE)では、原子力機構の福島研究開発部門や福島県等と連携して、福島事故からの復興に向けた多様な計算科学技術の開発を推進しています。放射線計測データのデータベース化や放射線計測データをシミュレーションによって解析・将来予測する技術等について最先端の研究成果に関する情報交換を行うため、第29回CCSEワークショップを開催しました。

    福島事故からの復興に向けては、福島の現状を知り、将来を予測することが重要との観点から、本ワークショップでは、基調報告として「福島における放射線環境の経時変化と被ばく線量」のタイトルで、放射線計測データの有効活用や放射性物質の分布・移動を予測する技術開発の成果と課題について報告がなされました。それに続き、放射線計測とデータベース構築、可視化解析、放射性物質の動態予測シミュレーション等の技術開発について、5件の報告がありました。

    本ワークショップには、56名(機構外31名、原子力機構25名)の参加があり、放射線計測の高精度化に関する技術やコンピュータシミュレーション技術について活発な議論がなされました。また、今回は研究者・技術者に加えて一般の方の参加も目立ち、福島の今後の空間線量率の変化予測や環境中での放射性物質の動態予測などに高い関心と期待が寄せられました。

    2.プログラム

    ―福島事故からの復興に向けた計算科学の取り組み―

    13:00~13:10 「開会挨拶」

    谷 正之(日本原子力研究開発機構 システム計算科学センター)

    13:10~14:00 「福島における放射線環境の経時変化と被ばく線量」

    斎藤 公明(日本原子力研究開発機構 福島環境安全センター)

    14:00~14:30 「放射線計測データ統合技術の開発」

    Haruko Murakami Wainwright (Lawrence Berkeley National Laboratory)

    14:30~15:00 「放射性物質モニタリングデータベースシステムの現状」

    関 暁之(日本原子力研究開発機構 システム計算科学センター)

    15:20~15:50 「小型・軽量コンプトンカメラを用いた遠隔放射線イメージング技術の開発~コンプトンカメラデータを用いた3次元線源分布再構成に関する検討~」

    宮村 浩子(日本原子力研究開発機構 システム計算科学センター)

    15:50~16:20 「放射性セシウムの将来分布等を推測する解析モデルの開発」

    北村 哲浩(日本原子力研究開発機構 福島環境安全センター)

    16:20~16:50 「水圏における放射性物質動態評価シミュレーション技術の開発」

    山田 進(日本原子力研究開発機構 システム計算科学センター)

    16:50~17:00 「閉会挨拶」

    中島 憲宏(日本原子力研究開発機構 システム計算科学センター)