Computational Science and Engineering Division, Atomic Energy Society of Japan
  • 【報告】日本原子力学会2018年秋の大会 企画セッション

    2019.2.18 酒井幹夫 コメント無し

    日本原子力学会2018年春の年会

    企画セッション報告:「人工知能技術の活用と将来展望

    日 時:9 月7日(金) 13:00~14:30

    座 長:伊藤 啓(京都大学、計算科学技術部会長)

    聴講者:77名

    概要

    近年、人工知能は多種膨大な情報を統合・利活用して問題解決するための基盤的計算科学技術となっている。一方で、一つ一つの意思決定がその後の大きなリスクの顕在化に強く寄与し得る原子力分野にあっては、科学的根拠に基づく合理的な判断を下す必要があることから、人工知能技術のブラックボックス性などが問題となる可能性がある。本企画セッションでは、人工知能技術の現状と構造・流体解析、検査高度化への活用について講演を行い、原子力分野における人工知能技術の課題や将来展望などに関して議論した。

     

    深層学習によるき裂進展予測のためのサロゲートモデルの構築(近畿大学:和田 義孝 氏)

    Construction of surrogate model for prediction of crack propagation using deep learning (Kindai Univ.: Yoshitaka Wada)

    重合メッシュ法によるき裂進展データを大量に生成し、何をどのように学習するのがサロゲートモデルの構築に有効なのか、き裂進展挙動を通して考察した。取得データ数が相対的に少なくなる状況(例えばき裂伸展方向が変わる状況のデータなど)を適切に把握してデータ密度の均質化を図るのが重要であること、ディープラーニングによる学習はモデル化が困難な工学問題に対して有効と考えられること等が示された。

     

    計算力学シミュレーションを機械学習に置き換える技術の基礎的検討(東洋大学:中林 氏)

    Preliminary study of technology for replacing computational mechanics simulation with machine learning (Toyo Univ.: Yasushi Nakabayashi)

    ディープラーニングの一種であるConvolutional LSTMを数値流体解析結果の予測に用いる手法を提案した。流体解析結果の渦度と圧力場を可視化した画像を用いて学習を行い、過去4フレームの可視化画像を入力に与え、次フレームの可視化画像を生成することに成功した。現時点での予測精度は数値解析の代替手法としては改善の余地があるが、数値解析の次のタイムステップの近似値の予測に用いて、ソルバーの初期値に使い収束を早めるなどの応用方法が示された。

     

    画像処理、AI活用による原子炉検査の高度化(日立製作所:細谷 直樹 氏)

    Advancement of nuclear reactor inspection with image processing and AI (Hitachi, Ltd.: Naoki Hosoya)

    原子炉検査員の負荷軽減や工数低減、検査結果の信頼性確保のための画像処理・AI技術について述べられた。目視検査について、放射線ノイズ抑制、信号強調、およびそれらの専用並列演算プロセッサへの実装によるリアルタイム動画像処理手法が示された。また、超音波探傷検査について、エコーデータから欠陥候補を自動識別するAI技術、およびエコーデータ合成によるデータオーグメンテーション手法が示された。

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